七尾百合子と空想文学少女

お疲れ様です。はらしです。
今回は THE IDOLM@STER LIVE THE@TER HARMONY 02 にて七尾百合子さんが歌っている「空想文学少女」について綴りたいと思います。

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綺麗な曲ですよね。オフボーカルが(三姉妹)カフェで流れていてもおかしくありません。入りはバラードかな?と思わせる曲調なのに、サビに向かうにつれて様々な楽器が加わって大きな盛り上がりを魅せる楽曲です。それでいて切なさも感じさせるすごいいい曲(語彙力)。

個人的にはミリ3rd仙台で歌ったのが一番好き。

 

さて本題に入りましょう。

 

既にソロ三曲目である「地球儀にない国」がリリースされている今、この曲をどう見るか綴っていければなと思います。

 

他のソロ二曲は七尾百合子のアイドルに対しての思いが描かれているのに対して、空想文学少女はそれが感じ取れません。良い悪いの話ではなく、テーマが他二曲とは全く違うのではないか?と考えています。ではそのテーマは何か。

空想文学少女「七尾百合子が理想の恋愛観を空想した曲」です。

大元はこれに沿って綴りたいと思います。

 

やわらかな 光の中

埃のパレード抜けて

抱きしめた本の匂い

切なくなるほど

この想い 君へと

埃のパレード。埃が舞い上がっているのでしょうか?そんな事象が起こる要因はただ一つ。七尾百合子が読みたい本に向かって早足で図書館内を駆けているからです。あまり読まれていない書籍や高さが同一でない書籍の上というのは掃除もしにくく、自然と埃が溜まってしまいやすい場所なのです(知らんけど)。

 

ここからラブストーリーが始まります。

 

背伸びしても届かない背表紙に 

君の手がそっとくれたそっとくれた優しさ

差し出されたタイトルが示してた

この出会いは『恋のはじまり』

うん歌詞の通り。七尾百合子は図書館にいます。上の方の段に読みたい本を見つけ、それを取ろうとしますが届きません。しかし、ちょうど近くに居合わせた一人の男がそれを取ってくれました。この出会いが彼女の恋のはじまりとなります。

「タイトルが示してた」と書いてあることから、取ってもらった本は恋愛系のお話であったことが窺えます。

 

んで私は疑問に思いました。

何で恋のはじまりに2重かぎかっこついてるの?

 

「二重かぎかっこ」は映画や漫画などのような「作品のタイトル」を表記するときは必ず使います。

わたしはジブリ作品の中では『魔女の宅急便』が一番好きです。

https://yossense.com/blog-parenthesis/

 

なるほど。どうやら取ってもらった本のタイトルは『恋のはじまり』だったようです。

『恋のはじまり』から恋が始まるのです。彼女は運命を意識してしまって妄想が止まらないでしょうね。

 

あの日 君にうまく言えなかった

「ありがとう」

昼下がりのエピソード 

今も覚えてますか?

うん歌詞の通り。君との出会いの数日後、七尾百合子は本を取ってもらった日のことを思い返します。頭が回らずお礼を言えなかった。もしお礼が言えていたら、君と少しでも近づけていたかもしれない。君は今もあの出来事を覚えているのかな…?

 

涙の意味(わけ)が知りたい

ページめくって「恋」だって

気づいたこの気持ち 君のこと知りたい

名前呼んで 好きだって 言える日は遠くて

向かい合わせ いつの日かきっと…

なんて恋愛小説(ラブストーリー)は

今日もフィクションのままで

また少し月日は経ち、この想いが恋だとはっきりと気づきました。君のことを色々知りたいし、私のことも知って欲しい。名前を呼びあってこの想いだって伝えたいけど、今の私にそんな勇気はありません。でも私は夢を見てしまう。向かい合わせで図書館の席に座っている姿を。

 

……なんて甘酸っぱい恋をしてみたい!

なんと!全て彼女の空想上のお話だった訳です。今日もフィクションと書かれていることから、こういった恋愛空想は常日頃からしているとことが推測できます。

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多分こんな顔でしているでしょう。

ほっぺつねりたい。

Brand New Songをよろしくお願いします。

 

おっと、ひとつ触れてないフレーズがありました。何で涙を流しているのでしょう。

 

  1. このお話に出てくる七尾百合子の涙
  2. 『恋のはじまり』に出てくるヒロインの涙

 

この2つが考えられます。

1.月日が経っても2人の恋物語に進展はなく、それどころか会話すらしたことがない。自分から話しかける勇気もないし、そもそも彼が私を覚えているかすら危うい。そんな自分の弱さや受け入れ難い事実を胸の内に閉じ込め、あたかも自分が泣いている理由が自分でも分からないよう振る舞っている様子。

2.『恋のはじまり』という本を彼に取ってもらったと述べました。そのヒロインが涙を流しているシーンがあります。単純に、その涙の意味が分からないから知りたいと思っている様子。

 

『恋のはじまり』の内容が楽曲内で七尾百合子が理想の恋愛観を空想したお話と捉えれば、2で書いたヒロインを七尾百合子であると断定できます。よってこの涙は彼女のもので間違いないでしょう。

 

2番

 

深呼吸で開いた裏表紙

ほんの少し君に近づく瞬間

薄汚れたカードに記された

右上がりの5つの文字

ここでキーとなるのは5つの文字です。もちろん「はらしぴー」の可能性もありますが、ここは「七尾百合子」と書いてあると考えるのが自然でしょう。なんと!彼女の書く字は右上がりという新情報がここで!と思っていましたが…

 

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サインが思いっきり右上がりでしたね。余談ですが、キャラのサインは声優さんが考えたものらしいです。

これで5つの文字が七尾百合子を指している可能性が高くなりました。

もしそうだとすると、視点がここままだとおかしな所が生じてしまうことになります。そういう訳で2番は彼の視点で歌詞を読み解いていきます。

 

実はあの時本を取ってあげた君のことが気になっています。君に少しでも近づこうと思って、 君が前に読んでいた本の裏表紙を見てみます。するとそこには貸出カードが刺さっており、右上がりで書かれている彼女の名前を見つけました。

 

やはり彼視点の方がすんなり解釈できました。このまま続けます。

 

突然話しかけたら

きっと君は困るかな

頬杖ついてモノローグ

そんな勇気ないのに…ああ

ノローグとは独り言のようなものです。

歌詞のまんまですね。

彼も奥手なようで中々七尾百合子に話しかけることができません。本を取ってあげたというただそれだけの出来事。話しかけたら困るに決まっています。それでも、仲良くなっていつかはそのうち……と勇気はないのにモノローグしている様子が窺えます。

 

君はまたいつもの席

夢中で滑らせる指先

やわらかな光の中

少し伸びをする君の目線の先

目と目が会ったらいいな

ここも彼視点です(理由は後述)。「君」は七尾百合子を指しています。

 

君はまたいつもの席で本のページをめくっていた。少し経って、休憩がてら目線を本から外して伸びをしている。そんな君と目が合えばいいなあ。

 

普通、「目があう」と書くときは「」を使いますがここでは「」になっています。何故でしょう。常識的ではありますが、「合う」と「会う」の違いを確認します。

 

「合う」の意味

最初に「合う」の意味を説明します。「合う」とは「別々の物・事がひとつにまとまる。(他の同士の連用形を受けて)互いに同じ動作をする。つりあう。一致する」といった意味があります。

「会う」の意味

次に「会う」とは「人・または何かと、ある所で一緒になる」という意味があります。主に人と人とがある所でまとまる意味の「あう」の場合にはこの「会う」を使用します。

http://imijiten.com/kanjiimi/686/

 

七尾百合子と彼はまだ出会っていません。本を取った取ってもらったというだけのちっぽけな出来事。これは「出会った」とは言い難いのです。

ここで「会う」を使っているのは、目が合ったことを通してお互いの存在を意識したいという想いが込められているからではないでしょうか。つまり、「目が合う」ことが「出会う」ことになるのです。

 

もう1つ注目したいのが「やわらかな光の中」。冒頭で出てきたときは普通にスルーしましたが、2回目の登場となれば別です。これが何なのか考えていきます。

やわらかな光の中で図書館内を駆けたり伸びをしたりします。この光は彼のことを表していると考えます。彼の恋心が混ざった七尾百合子のことを見つめる視線こそがやわらかな光の正体です。七尾百合子が本を取ってもらう前からずっと彼は彼女のことが気になっており、見かけては視線を向けていたのです。どうやら曲の始めから既に恋物語はスタートしていたみたいですね。

 

恋の展開(ゆくえ)が知りたい

ページめくって 次だって

期待してるこの心

君のこと知りたい

名前呼んで 好きだって

言える日は遠くて

向かい合わせ いつの日かきっと…

なんて空想文学小説(ゆめ)みたいな

君との恋愛小説(ラブストーリー)は

今日もフィクションのままで

サビの中盤以降は既に書いたので省略します。

ページめくって」は『恋のはじまり』を読み進めていくのと、自分の恋愛空想を進めていくことを掛けていると考えます。

 

恋の展開(ゆくえ)が知りたい

ここに七尾百合子の魅力が目一杯詰まっています。空想上での恋愛のお話ならいつでも自由に展開やゴールを決められるはず。なのに彼女はそれをせず行方を知りたがっています。

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彼女は恋愛空想に対してこう思っているのではないでしょうか。展開やゴールがわかってしまえばトキメキがなくなってしまう訳で、彼女にとっては不本意なのです。

展開を知りたいけど知りたくない。想像力豊かな彼女だからこそこういった意味に受け取れる素敵な歌詞だなと思います。

 

おしまい

 

感想

彼女の脳内を舞台にした素敵な楽曲だなと感じました。

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